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Nihil / IMPALED NAZARENE (2000)
第21回(2009/3/22更新)

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 フィンランドが誇るお下劣コア系ブラックメタル、いんりんこと IMPALED NAZARENE の6枚目アルバム。"Rapture" が好きという人は多いけど、これも良いアルバム。このバンドは『枚数を重ねるごとに聴きやすくなっている』などとB!誌だかどっかに書いてあったが…そうか?単に2、3枚目あたりの特徴だったハードコア色がここんとこ薄くなってきただけでは。1枚目から聴きやすいバンドだと思うよ個人的には。

 "Cogito Ergo Sum"、"Human Proof" など何やら小難しい題名の曲が並ぶが、中身は100%、IMPALED NAZARENE のあらゆるものに中指立ててやる的精神なので安心。そういう姿勢から「ハードコア」呼ばわりされることも多いけど、とげとげしくもメロディアスなリフが意外と多く、やっぱり紛うことなきブラックメタルである。4曲目の "Angel Rectums Still Bleed - The Sequel" (題名が笑)なんかは以降の作品で色あせていくハードコア風味をまだまだ味わえるけどね。
 このアルバムではかの Alexi Laiho がメンバーとして参加しているんだが、どっちかっつーとAlexi よりも Reima Kellokoski の書いた曲でメロディーが際立っている。ただ、"Zero Tolerance" は Alexi 丸出し。お気に入りは "Cogito Ergo Sum"、"Post Eclipse Era"、"Assault The Weak"、"Nihil" とかメロい曲のあたりかねー。アルバム始まって1曲目の "Cogito Ergo Sum" はかっこ良すぎ。締めのタイトル曲にして超名曲 "Nihil" のブラストビートの音圧はすごいとか、聴きどころは多く素晴らしい作品だと思う。

 とにかくこの IMPALED NAZARENEの作る音、「汚い」「粗い」とか何とかいわれることが多いが、私の耳にはこの上なく美しく響いて聞こえる。これこそがブラックメタル愛好家たちの求める「美」であり、俗世間の「美」とは違って当然なのである。

In The Sign Of The Raven / MITHOTYN (1997)
第20回(2009/2/22更新)

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 スウェーデンのヴァイキングメタルバンド味噌陳の1枚目。アルバムを3枚出して解散してしまった。中心メンバーは現在 FALCONER で別の切り口からトラッド系と呼ばれる音楽を追求している。その1st アルバムの感想文を書いてみた。

 当然このジャンルであるからには全体的に AMON AMARTH みたいな曲が多いわけだが、インストルメンタルや民族音楽のテイストも取り入れられており、ヴァラエティ豊かな内容だと思う。その代わり、AMON AMARTH ほどの突撃感はない。出だしの3曲 "Upon Raging Waves" "In The Sign Of The Raven" "Shadow Of The Past" の流れが非常に勇壮な雰囲気を作り上げている。その次に続くインスト曲 "Lost In The Mist" はすごく気に入ってよく聴いていた。漢メタルお約束の「オ〜オオ雄〜」コーラスもあるし。7曲目 "Tills Dagen Gryr" は民謡みたいな雰囲気の曲でけっこう珍しいスウェーデン語詞である。

 8曲目と9曲目は長尺の曲が続き、スピード感もあまりないのでだれると言えばだれるが、ヴァイキングの生き様、死に様などが歌われており、非常にらしい内容であるといえる。アルバム最後の曲 "Let Thy Ale Swing" は妙に明るくて8曲目から10曲目の流れからは意外な展開であるが、パイプオルガンで彩られる10曲目の "When My Spirit Forever Shall Be" に続いているからにはここには何らかの物語が隠されているのだろう。テーマが単調になりがちなこのジャンルにあって深い作品だと思う。

Stiletto / LITA FORD (1990)
第19回(2009/1/8更新)

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 リタ姐さんのソロ4枚目。近頃名前を聞かなかったが、どこかのフェスに出場するとかしたとかいう噂を耳にした。

 音全体は発表された時期のせいもあって、'80年代のポップな音を引きずっている感じ。タイトル曲 "Stiletto" や "Cherry Red" なんかは典型的。他にも "The Ripper" といういかにもLita Ford らしい『メタル』な曲もあれば "Lisa" というバラード、Alice Cooper のカヴァー "Only Women Bleed" も入っていてアルバムのバランスは非常に良い。「お買い得」感はけっこう高い。

 ただしキラーチューンに多少欠けている気もする。30歳過ぎという、ソロアーティストとして勝負の歳で発表されたアルバムであり、やたらと胸の谷間を見せ付けるPVの "Hungry" で、ヴィジュアルと歌の両面でセクシーさを前に出そうとしているのは分かるが、この人の場合、声がそういう感じじゃないんだよね。ハスキーで、良い意味で『喉笛にかみつきそうな』というか、まあ理想的なメタル女の声だからそう感じるのかも。変に媚びずに真正面から勝負しても良かったと思うんだが…。きっと時代がそうさせなかったのだろう。

Forever Autumn / LAKE OF TEARS (1999)
第18回(2008/11/24更新)

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 スウェーデンのドゥーム/ゴシック系バンドの4枚目。このバンドは1枚目ではドゥーム/ストーナー系(というよりPARADISE LOST?)、2、3枚目ではストーナーが混じったようなゴシックを作っていたが、本作品はマニア以外にも聴きやすい内容になっている。それでもゴシックっぽい暗さは失われていない。これ以降の作品に共通している要素もちゃんと含まれている。

 全体的に「メタル」っぽさを抑えた曲が多く、タイトル曲 "Forever Autumn" などはプログレかカントリーかと思うほどである。ただ、"Hold On Tight"、"Pagan Wish"、"Come Night I Reign" といった「メタルっぽい」曲はドゥーム臭がどことなく漂っているので、前作までの傾向と変わっていないところもある。
 全体的に「暗さ」よりも「寂しさ」を感じさせる曲が多い。ピアノを取り入れた "Otherwheres" というインスト曲もある。個人的には『弾き語りのPARADISE LOST』という印象を受けたが、決してフォロワーに終わるような作品ではなく、むしろ素晴らしい作品だと思った。

 アルバムクレジットを見るとメンバーの亡くなった家族か誰かに捧げられているようだが、暗い気分になるほどの暗さはなく、晩秋の宵頃に聴くにはちょうど良い一枚だと思う。あまり真正のゴシックを聞くとやる気がなくなるからね。

Sehnsucht / RAMMSTEIN (1997)
第17回(2008/10/27更新)

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 ドイツのインダストリアルメタルバンドの2枚目。テクノ大国ドイツのバンドだけあって、随所にそっち系音楽からの影響がうかがえる。歌詞はすべてドイツ語で書かれているので、内容はともかくドイツ語の勉強にはかなり使える。

 どこかの民族音楽のような出だしのタイトル曲 "Sehnsucht" がリードトラック。他にもドイツのシングルチャート10位以内にランクインしたという "Du Hast"、"Engel" とかどこかキャッチーだがヘヴィな曲が揃っている。私はどちらかというと速い曲が好きなんだが、あまり速くなくても "Klavier" とか "Bestrafe Mich" は好きだね。
 一応インダストリアル系とされるバンドではあるが、ゴリ押しの激しい曲はあまりない。音からは逆に弾力のようなものが感じられ、機械っぽい鋭利さは感じられない。このバンドは他の作品でもそんな感じだが、この作品では特にそれが強く出ている感じがする。東北ドイツ語訛りで歌う Till Lindemann は声色はモノクロームであるが、意外に声域は広くどんな曲でも歌いこなすほどに上手い。

 このバンド、4枚目の傑作 "Reise, Reise" を出したときに来日したんだが、金と時間がなく行けずに悔しい思いをした…。来年あたりまたアルバムを出すようなので、ぜひ来てほしいね。

Fallen / EVANESCENCE (2003)
第16回(2008/09/07更新)

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 5年前にものすごく売れた EVANESCENCE のデビュー盤。このバンドは俗に「ゴシックメタル」とされているが、この作品はいわゆるゴシックとは違う。むしろもっとアメリカ的な、インダストリアルとかニューメタルの風味をもっている。

 初めて聞いたときは、エフェクトのかかった声で始まる"Going Under" で引き込まれた。その後に代表曲とも言える"Bring Me To Life"、"Everybody's Fool"、"My Immortal"が続いていく。派手な印象の曲はないのに、どこかキャッチーで耳に残るのはさすがだと思う。中盤の"Haunted"、"Tourniquet" のようにギターソロの印象的な曲もあり、全体的に「メタル」を随所に織り込んだ音作りになっている気がする。あまりゴシックっぽくないけど、個人的には "Everybody's Fool" と "Whisper" がお気に入りかな。歌詞の傾向も、欧州産とは少し違っててそこも面白い。

 本作は欧州ゴシックと違い、湿度の高い暗さは少ないが、脱退したギタリストの影響もあるのか、2枚目の音楽性は欧州産に近づいている。そのせいでこのバンドは誰かが Amy Lee をプロデュースするんじゃなく、Amy Lee 自身のバンドになってしまったわけだが、そこんところも他のゴシック系バンドと一線を画している気がする。あと、この数年間に色々あったせいか、個人的には Amy さんは少し老けたような気がする。

Nightfall In Middle-Earth / BLIND GUARDIAN (1998)
第15回(2008/07/13更新)

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 いわゆるドイツ産クサメタルとは毛色が少し違うクサメタルバンドの6枚目。コンセプトアルバムで、英国の作家トールキンの『シルマリルの物語』の一部を題材にしている。このバンドの傑作は3枚目と断言できるが、これも良い作品なので感想文を書く気になった。

 曲の間にSEやセリフのようなものが入っているため22曲収録のようだが、実際には11曲である。最初の語り "War Of Wrath" から "Into The Storm" へと流れ込み、一気に幻想的な世界へと引き込まれる。曲とともに物語が展開して行き、"Nightfall"、"The Curse Of Feanor"...と続いていく。代表曲のひとつである "Mirror Mirror" 以降は曲の緩急が少なくなるが、飽きを感じさせない。
 Hansi Kürsch の声は低音域にややクセがあり、それが前面に出る曲もあるので、苦手な人には聞きづらいかもしれない。それでもギターの音色と分厚いコーラスで美しく幻想的な世界を描き出すことには成功している。キーボードを抑えた曲作りであることを考えると、なかなかすごい仕事だと思う。俗に言う「捨て曲」もないと思うが、強いて言うならSEとかが捨て曲なのかも。

 ジャケットの内容はケチのつけようがなく、アートワークは曲にぴったりと合っている感じで良い。また、物語のあらすじをドイツ語で綴ったというのもまた素晴らしい。辞書を片手に読んだよ。

Beyond The Valley Of The Murderdolls / MURDERDOLLS (2002)
第14回(2008/06/08更新)

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 みんな知ってる今年LOUDPARK でトリを務めるSLIPKNOT のJoey Jordison のサイドプロジェクトというかバンド。本職のSLIPKNOT とはかなり違う音楽性。しかもJoey はギターを弾いている。

 音自体は'80年代ハードロックとは異なり、'90年代メタルのような重みとグルーヴ感がある。曲の雰囲気は一般的なハードロック…というよりは、童心に帰って作ったような悪ガキロケンロールといった感じか。曲の題は"Kill Miss America" とか "Twist My Sister" "Die My Bride" "Let's Go To War" とか、とにかくガキがふざけてつけたようなのばかりでこれも作品に良い味付けをしている。歌詞もかなり馬鹿。メンバーのルックスもどことなくパクリくさい…。が、曲は全面的にキャッチーでとっつきやすい良質な作品が多く、そこはSLIPKNOT との共通点かもしれない。

 ヴォーカルのWednesday13 は本人の見た目どおりホラー映画のファンらしく、そこんとこはビデオクリップもある "Dead In Hollywood" に歌われている。というか、こういうネタで曲を作るそのセンスが素晴らしいと思う。リミテッドエディションとかいうのは前に出たが、以降の作品が出るのかはよく知らない。期待したいところ。

The Principle Of Evil Made Flesh / CRADLE OF FILTH (1994)
第13回(2008/05/18更新)

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 英国が誇るブラックメタルバンドの第1作にして名作。このバンドは、ヴォーカルが「スウィートな」デス声だとか、ホラー映画志向の作風であるとされ、非常に「聴きやすい」ブラックメタルバンドのひとつ…というか、すでにそういう領域にいないのかもしれない。

 ブラックメタル黎明期に作られた作品なので、現在のこのバンドの音に比べ非常にブラックメタル的である。しかし、ノルウェーの同時代同ジャンルの作品群よりは、音が少し重く感じられる。太鼓は暗黒音楽界ではおなじみのNicholas Barker さんである。曲の展開も、当時の北欧のバンドと違う。女性の声で語りを入れたり、インスト曲を3曲も入れるなど、非常に聴き応えのある内容となっている。パイプオルガンを髣髴とさせるキーボードも非常に印象的で、ゴシック風味を隠し味で滲ませている。
 タイトル曲"The Principle Of Evil Made Flesh"中のDani Filth のスクリームがすばらしすぎる。他には"The Black Goddess Rises"、"Summer Dying Fast"などの代表曲も充実。"The Forest Whispers My Name"は2ndアルバム"Vempire or Dark Faerytales in Phallustein"にも収められているが、個人的にはこっちのほうが好きだね。

 ジャケの趣味の悪さはブラックメタルだから仕方ないとして、音質がかなり悪い。音量もかなり上げないとはっきり聞こえてこない。こっちは許容できるかできないかギリギリの線だ。

Dragon's Secrets / SKYLARK (1997)
第12回(2008/04/13更新)

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 イタリアのキラキラ系バンドの多分3枚目あたりの作品。名作の"Divine Gates"シリーズの前の作品であり、ヴォーカルがお姉ちゃんじゃない時代の作品。ジャケもえろくない。

 コンセプトアルバムということもあり、同じくイタリア出身のRHAPSODYのようなファンタジー調の物語を展開することに重きが置かれている作品。いわゆる「メロスピ」に分類されるバンドではあるが、さほど疾走感にあふれる曲は多くはない。このアルバムで耳を傾けるべきはこのバンドの表現力であろう。随所にちりばめられたオーケストラが良い雰囲気を醸し出している。1曲目"The Temple"のハープシコードの音色も聴き手を引き込むのに一役買っている。何と言っても聴きどころは3部構成の"Light"だろう。プログレ臭すら漂っている。

 ヴォーカルがいまいちパワー不足で時々高い声を張り上げたり、音もあまり良くないせいだろうか、アルバムを通して終始イモ臭い雰囲気が漂っているんだが、それを補って余りある表現力と言える。名作とされる"Divine Gates"シリーズよりも分かりやすい曲が多く、個人的にはこっちのほうが好き。うちにあるやつはリマスター版で最後に隠しトラックでインスト曲が入っている。

Once Bitten / GREAT WHITE (1987)
第11回(2008/03/06更新)

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 '80年代を代表するバンドのひとつ、GREAT WHITE の3作目にして出世作にして傑作。ここ数年火事くらいしか話題がなかったが、去年久しぶりに新譜が出た。

 1曲目の"Lady Red Light"、"Gonna Getcha"、"Rock Me"、"All Over Now"と'80年代丸出しの名曲が並び、"Mistreater"以降は「大人の夜」を匂わせる曲が並び、名バラード"Save Your Love"で締めくくる。捨て曲などあるはずもない。
 全体的に「夜の香り」が漂ってくる雰囲気。「ブルーズ」などというかっこいい音楽についてはよく知らないので、言葉の使い方が間違っているかもしれないが、よくいう「ブルージーな曲」とはこんな曲を指すような気がするのである。このバンドの魅力として語られることの多いのは、なんと言ってもJack Russel のヴォーカルであるが、最新作でもたたいているAudie Desbrow のドラムもかっこいいと思う。

 余談だが、うちにあるやつは外盤なのに、ジャケの外の曲順と中に書いてある曲順が違う…。何で…??

Storm Of The Light's Bane / DISSECTION (1995)
第10回(2008/02/11更新)

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 おととし自殺したJon Nödtveidt率いるスウェーデンのカリスマ的バンドの2枚目。巷では「ブラックメタル」扱いされているが、個人的にはメロデスバンドのひとつとして聴いていた。Jon Nödtveidtの遺作となった"Reinkaos"もメロデスっぽい音だったし、このバンドの最大の魅力はこういう音にあると思うので。

 ドラムスは所々ブラストでたたいてはいるものの、あくまでツインリードが主役という曲が多い。イントロの後の"Night's Blood"、"Thorns Of Crimson Death"、"Soulreaper" などでは「泣きの」とまでは行かないが、叙情的で悲しさを誘うような調べが随所に現れる。全体的にブラストビートの割合は少なくないものの疾走感は抑え目で、曲の流れに緩急がある。それが逆に「聴かせる」作品という感じで実に良い。 日本版ボーナストラックの"The Feather's Fell"、アルバム末尾の"No Dreams Breed In Breathless Sleep" といったピアノ曲も作品を整えるのに一役買っているように感じられる。メインディッシュはやはりタイトル曲の"Retribution - Storm Of The Light's Bane"か。

 通して聴くと、1st アルバムに比べ、非常に垢抜けた印象のある、まとまった名作であると思う。ついでに言うと、1stアルバムではボンヤリしたメンバーの写真も、このアルバムでは垢抜けており、自らの男前を誇示するかのような写りになっている。それにしても自殺なんて…。聞いたときはショックで寝込んだよ。

Sweet Trade / the POODLES (2007)
第9回(2007/12/22更新)

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 2006年に結成された『新しい』バンドの2ndアルバム。新しいと言っても、面子はそんなに新しくない。キャリアの長いヴェテランたちによるバンドである。ホームページやアルバムの写真を見る限りはみんな(尊敬の意を込めて)オッサンである。

 このバンドに今、ものすごくハマっている。中毒のように毎日聴いているのである。もちろん1stアルバムも購入済み。1stも名作なのだが、この2ndはさらにその上を行く傑作だと思う。"Seven Seas"、"Reach The Sky"、"Band Of Brothers"といったダンス系音楽のリズムを取り入れたようなキャッチーな曲から、"Streets Of Fire"、"Flesh And Blood"、"Heaven's Closing In"のようないかにもメタルな曲、"Shine"のような'80年代の香りがするバラードまで曲の色はけっこう幅広い。
 実はキャッチー曲の展開が似通っているとか弱点はあるにはあるんだが、この展開が自分的にはまたツボだったりするんだよねー。最高だね。

 北欧でユーロヴィジョンコンテスト経て出てきたバンドってことでWIG WAM と比較して注目されているが、WIG WAM もそうであるように、キャリアをもったアーティストたちによるバンドだからこそ作れる作品なのである。今後も北欧のオッサンアーティストたちがシンクロニシティをどんどん起こして良い曲を送り出してくれるのを望む。

Time / MERCYFUL FATE (1994)
第8回(2007/12/02更新)

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 元祖(?)ブラックメタルの4thアルバム。音楽的には今日のブラックメタルとは程遠い正統的なヘヴィメタルである。MERCYFUL FATE のアルバムと言えば傑作"Don't Break The Oath" だが、こっちも良い感じだと思うので感想文を書きたくなった。

 前半の曲は名曲、佳曲が揃っており、このバンド(というかVo のKing Diamond)独特の怪しさ全開である。後半の曲は正統的なメタルの曲といった風情で、King も頑張っているものの、ちょっと怪しさに欠ける。何と言っても"Nightmare Be Thy Name"、"Angel Of Light" といった初めのほうの曲がかなり良い。自分のお気に入りは"Witches' Dance"(邦題;魔女の踊り)。耳をつんざくファルセットヴォイスが気持ちいい。次の"Mad Arab" もそうだが、どことなく民俗音楽っぽい感じもするし。

 ところで、King Diamond氏はギャグなのかと思ってたら本物の悪魔崇拝者らしい。けっこう身近なところにいるもんだねー。あと、余談だが、"Nightmare Be Thy Name" の邦題「汝の名は悪夢」…。これ、誤訳つーか適当だろ!?
 これはたぶん"Hallowed Be Thy Name" =「御名(汝の名)の崇められんことを」(IRON MAIDEN でみんな知ってるよね!?)という切屍丹フレーズのパクリなので、「汝の名の悪夢たらんことを」が正解…だと思う。 

Bangkok Shocks Saigon Shakes / HANOI ROCKS (1981)
第7回(2007/10/28更新)

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 言わずと知れたHANOI ROCKS の1stアルバム。個人的にはGUNS N' ROSES の次に知ったハードロックバンドなので、けっこう思い入れがある。リアルタイムで追っかけていた人はなおさらであろう。LOUD PARKも最高だったね〜。

 当時のフィンランドと言えば旧ソ連に対峙する「フロントライン国家」。当時まだそんなに有名なバンドも出していないような国で、よくぞここまでの作品を作れたもんである。スウェーデンで活動してたらしいが、欧州市場も今ほど国際化してなかったんじゃなかろうか。

 そんな背景のつまらない話はどうでもいいとして、とにかく曲が良い。高校のとき初めて聴いたころの未熟な耳でも、あれから10年以上経った今聴いても感想は同じ。捨て曲なし。"Walking With My Angel"、"First Timer"とか、若気の至りで作ったようなちょいダサの曲はあるものの、その未完成っぷりさえも魅力である。後に"Don't You Ever Leave Me" としてリメイクされる "Don't Never Leave Me"、ライヴの定番 "Tragedy"、"Cheyenne" など、まだ「北欧的哀愁」には欠けるが、サックスを取り入れた正統派臭も濃いハードロック。とにもかくにも名曲が揃っている。

 それにしても、先日のLOUD PARKではマイケル・モンローに驚かされた。今年45歳とは思えない…。処女の生き血でも飲んでるんじゃなかろうか。…何か、本当に飲んでそうだから、この辺で終わりとさせていただきたい。

Memorial / MOONSPELL (2006)
第6回(2007/09/30更新)

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 昨年発表のポルトガルのゴシックメタルバンドの7枚目フル。ゴシックメタルというより、このバンドの作品には、ブラックメタルにかなり近い色合いのものもけっこうある。

 この作品もまた、いかにもブラックメタルに入っていそうなイントロ "Memorial" からアルバムが始まる。続いて流れる "Finisterra" はシンフォニック・ブラックの好きな人なら「を?」と反応するに違いない1曲。時折、Yo*T*be で様々なメタルPVをチェックしているのだが、この曲のPVを見て「買わざるをえねえーッ」と思い、2日後に買っていた。もちろん人の好みはそれぞれなのでたまたま私のドツボに入ったと言うだけの話だけだが、これで買うのはありだと思った。

 他の曲は基本的にはゴシックメタルであるが、ヴォーカルの Fernando Ribeiro がほとんどデスヴォイスで歌っているため、これまでの彼らのスタイルよりアグレッシヴさが増したように思える。彼の声のファンには残念な作品かも。それでも彼らの持ち味は "Memento Mori"、"Luna" といった曲に表れていると思う。最後の14分に及ぶ大作 "Best Forgotten" は後半正直だれるが、ゴシックメタルの本領発揮どころと言えるのかも…。

Black Harmony/The Dead Beginners / THYRANE & The DEAD BEGINNERS (2000)
第5回(2007/08/16更新)

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 フィンランドのブラックメタルバンド2つのスプリット盤。THYRANE は日本盤も出したほど(マニアからは)注目を集めていたんだが、その日本デビュー盤のできはそこそこで、その後の作品についてはよく知らない。The DEAD BEGINNERS に関してはCD屋で見かけない…。

 しかしながら、このスプリット盤にはいわゆるシンフォニック・ブラックに必要なものがほとんどが揃っている。このジャンルの大家である DIMMU BORGIR あたりを髣髴とさせるダミ声とキーボードの組み合わせはなかなかに味がある。前半4曲(THYRANE)はキーボード主体で、太鼓が比較的軽めなのが逆に疾走感を盛り上げており、その疾走感からなのか、清涼感すら覚える。メロディーはメロデスのそれに近く、「叙情性」を帯びている。後半5曲(The DEAD BEGINNERS)はどちらかというと太鼓主体のブラックメタルで、重みもあり、曲展開も面白いものが多い。民族音楽らしき旋律まで含まれ、聴き応えがある。特に "Autumn And The Colour Of Bride" はバックが全面的にキーボードで、非常に自分好みの曲。何となくキャッチーだしね。

 THYRANE は解散してしまったが、the DEAD BEGINNERS は MySpace を見る限り活動しているようだ。国内盤…ないか。

Bad Sneakers And A Piña Colada / HARDCORE SUPERSTAR (2000)
第4回(2007/07/10更新)

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 スウェーデンのロックンロール系HRバンドの1st。昨年はセルフタイトルの傑作"Hardcore Superstar"を発表し、ヨーロッパでかなり売れたらしい。日本でも、単独公演を行い、LOUD PARK 2006 にも出演した。これからもまだまだ勢いが出そうなバンドである。

 北欧のHM/HR系バンドのキーワードはとにかく『哀愁』である。使い古された常套文句なので書きたくもないが、書かざるを得ない、動かぬ事実である。確かに、"Have You Been Around"や"Hey Now!!"などは、速くて勢いのあるロックンロールであるにも関わらず、それなりの『哀愁』を帯びている。放課後の校内放送、あるいはテレビ番組のスタッフロールにでも使えそうなほどである。ややバラード調ではあるが"Some One Special"もかなり夕焼け色だ。

 しかし、1曲目の"Hello/Goodbye"、自らの生き様を歌ったと思われる"Rock 'n' Roll Star"など、キラーチューンでは同郷の HELLACOPTERS, BACKYARD BABIES などと同系統の爆走ロケンロールを聴くことができる。1stなので作りこみが甘いと思われる曲はあるが、こういった爆走ロケンロールと『哀愁』という、北欧HM/HRのふたつの魅力を味わうことができるのが本作の醍醐味だと思う。
 ちなみに日本盤ボーナストラックは HANOI ROCKS の"Don't You Ever Leave Me"。おれは元曲のほうが好きだけど。

Supremacy / HATEBREED (2006)
第3回(2007/05/13更新)

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 いわゆるメタルコア系バンドの代表格の、昨年の作品。ハードコア好きはどう受け取るのか知らないが、このアルバムに収められた音を聞くとひたすらに頭振りたくなるので、メタルの要素も濃いと思う。それでいながらどことなくキャッチーでもある。スラッシュメタルのようなギザギザは少なめで、PANTERA 直系とも言えるグルーヴ感と突撃感があり、これが最高。"Defeatist""To The Threshold"といったキラーチューンも収めた至高の一枚。おれの個人的お気に入り曲は"Spitting Venom"。音のあちこちに「漢」が詰まっている。あ、前に作った「漢メタル」のページにこのバンド入れてないね。死刑だね。すいません。

 このアルバムに限らず、HATEBREED というバンドは「力」の信奉者であることが分かるが、歌詞に含まれるメッセージはどういうわけか弱者の視点から見た、前向きな内容のものが多く、そういう意味でも面白いバンドだと思う。1枚目から3枚目まで歌詞は男塾の世界みたいだし。昨年の「ラウドパーク'06」にも参戦していた。都合で両方の日程に行けず、1日目だけしか行かなかったので見逃してしまった。今年も来ねえかなあなんて思っている。

Black Rose A Rock Legend / THIN LIZZY (1979)
第2回(2007/04/21更新)

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 第2回目はTHIN LIZZYの名作。いきなり何を言い出しやがんだこのクソ野郎と思われるかもしれないが、このアルバムを初めて聴いたときは少し物足りない、と思った。別にバンド名に"thin"(=やせた、薄い)という語が入っているからではない。何と言うか、音に濃厚さが感じられなかったのだ。

 しかし、弾むようなベースが醸し出す曲の柔軟性といい、流れるようなギターの音色、そしてフィル=ライノットの深みのあるヴォーカル…。いつの間にかハマっていた。この曲のもつ魅力をすぐに聴き取れなかったのは、ふだんからHATEBREED とか、スラッシュメタル系とか激音ばかり聴いていたせいだろう。味の濃いものの喰いすぎで、味わい深い音が分かりづらくなっていたのだ。今ではこのアルバムを高級レストランのスープを味わうがごとく楽しめるようになり、クソ人間度も少しマシになったのだった。

 代表曲 "Waitin' For An Alibi"、"Do Anything You Want To"などを収録。特にアルバム最後の大作"Roisin Dubh (Black Rose) A Rock Legend"はソウル、ケルト音楽などを'70年代ハードロックに融け込ませた、THIN LIZZY の魅力の片鱗が分かる逸品である。

Use Your Illusion I / GUNS N' ROSES (1991)
第1回(2007/03/11更新)

 第1回目はもちろんガンズ。最初に買ったアルバムがこれ。このアルバムに出会わなければ、ハードロックに出会わず、こんなサイトも作ってないし、HR/HM系のその他の音楽も知らなかっただろうし、ほんとうに何も無い人生だったと思う。それに、中学・高校とろくに英語の勉強もしてない私が今の職に就くこともなかっただろう。私の人生など、GUNS N' ROSESに作ってもらったようなもんである。今年4月に来日が決まったおかげで日常生活に落ち着きがなくなり、嬉しいやら悲しいやらって感じ。

 このアルバムは衝撃だった。ハードロックとはこんなにうるせえもんだとは…。まあ「ハードロック」なんて言葉も知らず、まだ「洋楽」って感じだったが…。1曲目の "Right Next Door To Hell" のイントロベース音で一気に引き込まれる。"Back Off Bitch"、"The Garden"、"Perfect Crime" などの速い曲、マイケル=モンローがサックスを奏でる"Bad Obsession"、ライヴで欠かせない"Double Talkin' Jive"、そして大バラード"Don't You Cry"と"November Rain"など、とにかく名曲だらけ。まあ、ガンズの曲はおれにとってはすべて名曲だが…。スラッシュのギターもかっこいいし、アクセルは神だし。GN'Rの最高傑作は「Appetite」だと確信できるが、自分にとってはこのアルバムは特別な1枚。

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