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哲学への憧憬
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  瞑想/覚悟/そしてシステム屋としての思考
中島丈夫の哲学への憧憬
哲学への憧憬は若いころから強くありました。科学の実証性を超えた自由な論理の飛翔が魅力です。
哲学には殆んど造詣はありませんし、思考も随分と鈍ってきています。恥をかくだろうなぁぁ。。。



日本人の怒りはコントロールできるのか? バランス思考からブレンド思考へ

- 怒りを超え、心を癒して日本人の誇りを再生しよう -3

2011年02月06日 中島丈夫


 ロシアが北方領土問題で日本に見せつける厚顔無恥な施策に、怒髪天に昇る思いが続きます。
さらに追い打ちをかけるように、ロシアが韓国企業に北方領土開発の投資提案をしているというニュースが
報道されています。呆れてものも言えません。
一方で、英BBCテレビの広島・長崎で被爆した日本人の二重被爆者を嘲笑する娯楽番組が問題になりました。日本大使館の抗議に対して一応謝罪はしたのですが、どうも”カエルの面に小便”の感が拭えません。
尖閣列島問題で、日本人の対中国感情が一気に悪化しましたが、怒りの種は尽きまじ状態です。
日本の国債の格付けもランクダウンし、愈々乱世の気分が蔓延してきました。

こんな国際情勢の中で、小生の唱えるTrust 論など、全く、書生(ガキ)の世迷い言のようにも思えます。
無邪気というか、脳天気というか、我ながら呆れかえってしまいます。
とはいえ、やはり Trust 論の旗は降ろすわけにはいかないでしょう。

しっかりしないと、歴史と時間が巻き戻し、再び明治開国前後の修羅場に投げ込まれるのではないか。
管首相は果敢にも平成の開国を叫びますが、どこまで成算があるのか、よく見えなくなってきました。
それを見越して、一部の政治家は徳政令なども視野に入れ、平成の鎖国を画策しているようにも見えます。
そんなことが許される筈がないので、企業はしかたなく、原理原則なきグローバル化に疾走し始めました。

誰もが怒りと不信を抱えたまま、日本のill-structured な状況が加速しています。
 




 

日本人の怒りは何時まで抑制できるだろうか?

 

日本人の心模様.仏の顔も霞んでゆきます.

 
          

                        日本は何処へ向かっているのか? どうすればいいのか?

 
 
バランスからブレンドへ
 人間の価値観や欲望の利害得失は、多くの面でお互いにコンフリクトするのが普通でしょう。
それが昨今の急激なグローバル化が進む国際関係において、過激なほど先鋭化してしまっています。
お互いの利害を天秤にかけながらも、相手も配慮しながら、足して二で割るようなバランス感覚は先ず通用しなくなってしまいました。
日本人の特質・美質が通用せず、踏みにじられるだけです。
善意がある一方で悪意(?)も隠さず、殴り合いながら協業する、これが新しいルールですね。
しかしそんなことが、我々日本民族に可能なのでしょうか。

 バランスからブレンドへの提言に小生が最初に接したのは、昨年亡くなられた高名な数学者で京大名誉教授だった森毅さんが週刊誌で述べられているのを知った時でした。もう30年以上前ではないかと思います。
小生は単純に、負のスパイラルから動的な外向きのスパイラルなんだ、と、盛んに吹聴してきたものです。

 バランスよりブレンドだ、という心意気は、在野の豪傑達では当たり前の感覚だと思うのですが、減点を嫌がり、縄張りを介して生息する官僚主義的なエリート族の世界では、バランス感覚の方が重宝されているように見えます。大会社のミーティングの名人達は、このバランス感覚をとても誇りにしているようです。

 政治の世界でも、2世3世議員が多いリーダー達の頭の中には、バランス感覚が深く根ざしてしまっているように見えます。本当は我がまま自儘の精神しかないのに、人間関係のバランスには気を使う。
そして徒党を組む。日本人の党や派閥など、そんなものです。そんなものに誠実さなどない。
イメージだけの友愛とか、浪花節とか、金の縁とかで通用する内向きベッタリの団結とリーダーシップなどは、もう断捨離が必須ですよね。
とにかく整理して前に進まないと、この日本のill-structured な状況を解決する目途が立ちません。
利害がコンガラガッテ、にっちもさっちも行かなくなっています。
そのあげくが、亡国のバラマキ財政です。

 ブレンド思考はバラマキ志向では決してありません。
しかし、思考の、選択の、組み合わせの数はバランス思考の判断に比べれば桁違いになります。
それがグローバル化の中で、政治・経済・軍事・技術・・・・と重なり会ってくると、今までの方法では絶対対処できないでしょう。まぁぁ、古くて新しい問題、超多変量解析が必要になります。

 いくら議論したって、怒鳴りあっても、この ill-structured な状況は突破できない。
しかし問題の根本は、人々の信頼喪失にあり、怒りの増幅にあるのです。
さぁぁ、どうするのか。

小生の結論は、新しく Trust の旗を立て、その旗をIT の新技術で押し出していこうという点にあります
グローバル時代における日本人のコミュニケーションの課題を、新しいIT で解こうということです

 この2月3日に、情報処理学会のソフトウェア・ジャパンに出かけてきました。
めったに外出しなくなった自分を戒めるためにも、覗いてきました。
Cyber Physical System、という特集で、このラマンチャ通信やeCloud研究会でも議論してきたスマート・プラネットや、技術としてのストリーム・コンピューティングがテーマでした。
そこでの、小生にとっての大きな驚きは、東大の喜連川先生や日立研究所の矢野和夫さんの、人間の身体性への注目でした。本当に驚きましたね、小生の問題意識と完全一致に近かったのです。
特に矢野さんのCyber Physical Systemにおける究極の目的を、人間のコミュニケーションの新しい理解に置いているという主張に、感動しました。
人間系における物理的なコミュニケーションの、膨大なデータ収集と解析による可視化の現実解は、ノーベル賞候補にも匹敵しそうです。
小生がラマンチャ通信でスタートしている、Trsut の旗や、気の流れの構想は、正にこの点にあります。
人間の身体性を重視した、Trust の成立、コミュニケーション・プロトコルの理解にあります。

 ということで、eCloud研究会のテーマを、もう当たり前になってきたプライベート・クラウド回りから、
Cyber Physical Systemによる人間系コミュニケーションのモデル化、にシフトして進めていきたいと考えています。
          

    人間や国家間の利害得失のコンフリクト




 

ブレンド思考ではフォーカスの断捨離が必須



  

         異質な特性のブレンド