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eCloud研究会
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R-0025 ユーザー主導アーキテクチャ.技術サイクルの素早い取り込み
   2010年10月13日 中島丈夫 投稿 
 ここまで、ユーザー主導アーキテクチャの構成について、その考え方、構造について論考してきました。
ここでは、そのようなクラウド技術活用によって、如何に技術サイクルを柔軟・俊敏に取り込めれるのかを見てみます。
この論考は、2009年10月17日 投稿のレポート、R-0017 で考察したものの一部です。
丁度一年を費やして、このフォイルに戻ってきました。フォイルは再掲示です。
            
GRC: Governance, Risk, Complianse

企業アプリケーションのアプライアンス(版)化と、システム機能革新を追加アプライアンスで導入するリンク・モデル

 まず企業システムのチェンジ&レジリエンスを如何に達成できるのか、について考えてみます。 
上図において、新システムの目標とする能力を、縦軸のNFRの拡がりと、横軸のアプリケーション(FR)の拡がりで、現行システムとの違いをアナログ的なスケールで表現しています。
現行システムでは、上図の赤枠のように、FRとNFRは各インストレーション毎に一体型としてきめ細かく作りこまれ、システム・ライフサイクルを通して安定しています。しかしこの閉じた安定は、グローバル化などでこれから要求される縦横の急激な拡がりには対応出来ないと考えられます。例えば、多様なユーザ要求への充足や戦略的な攻めの経営環境を考えると、横軸で示されるアプリケーション(FR)のスペクトラムは拡がる一方でしょうし、縦軸で示される処理量の暴発や24x365運転などのNFRも拡大する一方だと考えられます。
 現行システムを支える伝統的なシステム開発では、赤枠のような限られた範囲のスケールの技術で、この両方を満足させることに注力してきました。しかしこれからは、従来の方法のままではスケール的にも俊敏さの点でも対応できなくなると考えられます。
急激でスケーラブルなチェンジ&レジリエンスには対応できない。
 クラウド技術を使った新エンタープライズ・システムでは、縦軸のスケーラビリティを中心としたNFRの実装を、メーカー提供基盤のクラウド・プラットフォームの利活用と、自社開発やベンチャー系開発の準システム・クラウド・サービス(VAC)のプラグイン追加機能の導入・活用により、IT部門が”クラウド的”柔軟・迅速に、技術革新を利活用することが出来るようになると考えられます。
プラグインの構造は何も特別なものではなく、仮想アプライアンスの追加・撤去・変更となります。
IT部門の主たる開発・メンテ活動は、本来のアプリケーション・ロジックの幅広いスペクトラムの充足にフォーカスすることになります。
このようにして縦横の急激な拡がりに対応します。
 
 上図の下半分に、新しいエンタープライズ・システムの構成概念を書き込んでいます。
新システムの目的は、NFR実装の重圧から企業アプリケーションを出来るだけ解放し、可能な限り身軽にすることです。
出来ればビジネス・ロジックだけの裸にしたいぐらいです。FRとNFRを一体型で作り上げる現行のシステム開発論では限界が見えています。 逆に、一般のパブリック・クラウドの論議では、企業アプリケーションそのものが明示的でなく、IT資源アロケーションのテンプレート化程度にしか対応していませんので、このようなSmarter NFRで訴求されるNFR充足は大変貧弱でおおざっぱになっています。

 eCloud研究会ではここが肝の提案になります。 そのために、何回も繰り返して主張している仮想化と仮想イメージ、すなわち仮想アプライアンス化を使います。 図における eVA(enterprise class Virtual Appliance) と VAC(Value Add Capability)です。
 eVAによって、アプリケーションの再利用や業務の機能修正・拡張、塩漬けなどを、版管理と共にアプライアンス指向で構成します。
一方で、モバイルやセンサー系インターフェース、あるいはセキュリティの強化などの機能はVACとして横付けで柔軟に導入します。
これらは今までは、プラットフォームの固いスタック・アーキテクチャに埋め込まれていたため、柔軟性に大きな課題がありました
VACは自社開発だけでなく、プライベート・クラウドやハイブリッド・クラウドを構成するプラグインとして開発・導入され、IT自由人やベンチャーなどのイノベーションの活躍の場となると期待されます
メーカー提供のクラウド・プラットフォームとは仮想化、アプライアンス化によって隔離され、サービス化されているため、ユーザー側での選択的な利活用で、従来に無い柔軟性が期待されます。メーカー・ロックインの回避です。